外から補う方法です

不安定になっている

女性ホルモンを補う方法です。

更年期 エストロゲン 女性

 

更年期のさまざまな不快症状は、

卵巣の機能の低下にともなって、

女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少したり、

分泌が不安定な状態になったとき起こります。

 

その急激な変化が、

からだにとって大きなストレスになるのです。

 

一般に、

エストロゲンの血中濃度が

1ml中50pg

(ピコグラム=1gの1兆分の1)以下になると、

更年期の症状が出やすくなるといわれています。

のぼせ ほてり 中年女性

 

そこで、

外から飲み薬や貼り薬などによって

ホルモンを補ってあげて、

 

ホルモンの急激な減少に

からだが無理なく

ついていけるようにしようというのが

HRTの目的です。

 

よく、女性のからだのライフサイクルは、

飛行機の離陸(思春期)と、

着陸(更年期)にたとえられます。

 

エストロゲンの分泌が

変動しつつ減少して

着陸時に衝撃を感じるのが

更年期です。

更年期世代 母娘

 

そこで、

外からホルモンを補うことで、

衝撃をやわらげて軟着陸させるのだと

考えるとわかりやすいでしょう。

 

 

非常に有効な治療法

 

更年期障害•更年期症状に
非常に有効な治療法です。

 

HRTは、

視在ではもっとも有効な更年期障害、

更年期症状の治療法として、

欧米では主流になっていますが、

日本での普及率は、

l.5%とまだまだ少ないようです。

 

40代 女性 更年期

その背景には

「更年期の症状は、病気ではないので自然のままに任せるべきだ」という

日本人の独自の価値観や、

副作用が怖いという心配があるようです。

 

でもどんな薬にも、

からだによい効果をもたらす主作川があれば、

必ずそれにともなつ副作用があるものです。

 

大切なことは

HRTの長所と短所を正しく理解して、

自分で納得して使うことです。

 

HRTを行うことのメリットと

リスクについて考えていきましょう。

45女性 更年期 症状

 

どんなメリットや効果がある

メリット1

つらい症状から解放される

 

症状の原因の部分に治療を施すことを

「原因療法」といい、

出てくる症状を抑えたりやわらげる療法を

「対症旅法」といいます。

 

HRT(ホルモン袖充療法)は、

更年期の症状の原因である

エストロゲン不足を外から補う

原因療法ですから、

更年期特有の自律神経失調症状に

抜群の効果を発揮します。

 

しかも、

多彩な症状をそれぞれ治療するとなると、

何種類もの薬が必要になりますが、

HRTだとそれだけで総合的な効果が得られます。

50代女性 更年期 エストロゲン

 

また、

短期間で効果が得られる点も特徴のひとつ。

 

自律神経失調症状に対しては、

3か月前後の治療で約8割の人が

「効果あり」と

答えているという報告があります。

 

メリット2

気分を明るくする

 

エストロゲンには、

気分を明るくする作用がありますから、

HRTを受けた半数近くの人が

「気分が明るくなった」

というのもうなずけます。

 

エストロゲンの服用が

直接精神面に影響を与えたのか、

 

それともつらい症状から解放されて

気持ちが安定したのか、

判定がむずかしい部分がありますが、

 

いずれにしても

心の不調改善に効果があったのは、

間違いないでしょう。

 

メリット3

性交痛や頻尿の改善

 

膣のヒリヒリ感や性交痛など、

人にはいいにくい悩みは、

更年期を迎えた多くの人が

感じていることです。

 

エストロゲンには、

皮膚や粘膜組織を強くして

みずみずしく保つ働きがありますから、

HRTを行うことによって

腟粘膜の潤いも取り戻せます。

 

メリット4

アンチエイジング効果

 

更年期からは

エストロゲンの減少によって、

皮膚のコラーゲンや角質水分量が失われていきます。

 

できてしまったしわやしみは消せませんが、

エストロゲンを補充することで、

コラーゲンが増えたり、

肌の水分量をキープできるなど、

若々しさを保てる効用があります。

 

また、

アリが背中をはっているような

皮膚の違和感(蟻走感)や

全身の皮膚のかゆみ・かさつきの改善にも

つながるといわれています。

 

人によっては

大きな効果が
現れない場合もあります。

 

さまざまな効果のあるHRTですが、

この治療法も万全ではありません。

 

一般にHRTは、

のぼせやほてりなどのホットフラッシュ、

多汗、動悸などの

血管運動系の症状にはよく効きますが、

不安やうつ症状など心狸的なストレスが強いときには、

HRTだけでは治療がむずかしい場合があります。

 

そのようなときにはHRTと並行して、

抗不安薬や抗うつ薬、

自律神経調整剤などを用いたり、

カウンセリングを行って

心の不安や葛藤を取り除いていくことで、

HRTの効果が現れやすくなります。

 

またHRTは、

萎縮性腔炎や性交障害など腟粘膜の萎縮には、

大変効果を発揮しますが、

頻尿や尿失禁など尿道粘膜への効果は、

いくぶん下がるようです。

 

腰痛や膝の痛みなどは、

エストロゲンの減少だけでなく、

すでに骨粗鬆症がはじまっていたり、

加齢による骨の変性などもともなうために、

HRTが必ずしも有効であるとはいえません。

 

メリット5

骨量に有効

 

更年期は、

のぼせやほてりのような

目立った症状に目を奪われがちですが、

その水面下では、

大きな自覚症状もないまま

骨粗楳症や動脈硬化などの

慢性的な症状が進行しています。

 

女性の骨量は、

30代半ばをピークに減り続け、

閉経後、数年から10年ほどで

2~3割も減少していきます。

 

つまり、平均的な閉経年齢である

50歳ころから骨量の減少はかなりすすみ、

骨粗鬆症がすでにはじまっているといっても

過言ではありません。

 

そして、60代に人ると

腰や背中などに持続的な痛みや

骨折などのはっきりした症状が現れはじめ、

65歳以上で半数近くの人が、

80歳以上では約7間以上の人が

骨粗尉症にかかっているといわれています。

 

このように加齢とともにすすむ

骨量減少に歯止めをかけて、

骨粗鬆症を予防する目的にも

HRTは効果を発抑します。

 

メリット6

生活習慣病予防

 

動脈は、

全身に血液を送り込んでいる

重要な血管です。

 

動脈硬化とは、

動脈が老化や病気などによって弾力を失い

硬くなったりもろくなった状態で、

動脈硬化がある心筋梗塞や脳梗塞など、

心疾患や血管障害の発生率が高くなります。

 

これらの病気は、

50歳ころまでは男性の発症率が

圧倒的に高いのですが、

それ以降では女性も高くなり、

60代以降では男性と同じになります。

 

それまで、

エストロゲンの働きで守られていた

コレステロールの増加が、

閉経によるエストロゲンの低下で、

いっきにその抑制が解かれてしまうのが原因です。

 

ェストロゲンには

悪玉コレステロール(LDL) を低下させて、

善玉コレステロール(HDL) の合成を

促進させる作用があります。

 

さらに動脈硬化を防ぐ効果もありますから、

HRTを行うことによって、

心筋梗塙や脳梗塞などの病気の予防にも

役立つというわけです。

 

また、アルツハイマー病と

女性ホルモンの関係も注目されています。

 

小規模の治験では、

HRTがアルツハイマー病の発症率を

減らすことが報告されています。

 

しかし、残念ながらいまのところまだ

確実なデータは出ていないため、

HRTの予防効果を疑間視する声もあります。

 

アルツハイマー病は

女性に多いといわれている病気ですから

HRTの予防効果について、

今後の検討結果が待たれるところです。

 

デメリットは?

子宮がんの心配

多くの人にとって

いちばん気がかりなことは、

HRTとがんの発生との関係でしょう。

 

HRTがはじまったころは、

エストロゲンだけを

単独で投与(ERT)していたために、

子宮体がんの発症率が高くなりました。

 

エストロゲンには

子宮内膜を増殖させる作用があるために、

子宮がんも発育させてしまったのです。

 

そこで、

本来の月経における

自然な女性ホルモンの働きと

同じ状態にするため、

エストロゲンと排卵後に分泌される

プロゲステロンを併用するようにしたところ、

子宮内膜の増殖は抑えられ、

むしろ子宮体がんの発生は少なくなりました。

 

子宮体がんへの心配はしなくてよい、

というのが現在の見解です。

 

乳がんのリスクは

一方、

乳がんの発生のリスクについては、

まだはっきりした

統一見解が出ていないのが現状です。

 

ただ米国では、

乳がんに対するリスクが

26% (1.26倍に)高まるとして、

HRTの臨床試験の一部を中止したという発表が

200 2年にありました。

 

具体的な数字をあげると、

今回の米国の臨床試験で

HRTを平均5.2年受けた人を調べると、

乳がんの発症率は1万人あたり年に38人。

 

受けない人の30人に対して

8人増加したというデータです。

 

しかし、

HRTの実施4年までなら、

乳がんの発生率に差はありませんでした。

 

また、もともと米国の乳がん発症率は

日本の3倍以上あること、

この調査に参加した米国人女性の

肥満度や喫煙率が高かったこと、

HRTの開始平均年齢が63.3歳と

乳がんなどの病気発生のリスクが

高い年齢であったことなどを考慮すると、

この結果をそのまま単純に

日本人の場合にあてはめることはできないと

考えられています。

 

また、

「HRTは米国で禁止された」と

誤解をしている人も多いようですが、

今回の発表はひとつの研究の結果であって、

結論ではありません。

 

現在も米国では

HRTに関する臨床試験が行われており、

医療の現場でも多くの女性が

HRTを受けています。

 

10年、20年とHRTを長期間行っていると、

HRTを受けていない人に比べて

乳がんのリスクが高まる可能性は

否定できません。

 

しかし、HRTを行うときには、

半年から1年ごとに乳がん、

子宮がんや肝機能などの定期検診を行いますから、

 

仮に検診で病気がみつかったとしても

早期発見・治療が可能です。

 

その他副作用

がん以外の副作用では、

女性ホルモンの影響を受ける

子宮内膜主や子宮筋腫、

乳腺症などの病気がある人は、

HRTを行うことで閉経後おさまっていた症状が

再び出てくる可能性があります。

 

そのほか、女性ホルモンを投与することで、

生理のような出欠が起こりますが、

出欠が起きてもその量はだんだん少なくなり、

l~3年ほどでなくなります。

 

また出血がはじまるパターンも

終わるパターンもわかってきますので、

あまり不安がらずに対応してください。

 

また、服用しはじめでは

月経前のように乳房の張り、

むくみ、おなかの張り、イライラ

吐き気などが起こることがあります。

 

これらの症状は、

薬の種類を替えたり量を加減して、

ようすをみるうちに消えることがほとんどです。

 

まとめ

メリットとリスクを理解して

選択しましょう。

 

最終的には

あなたの価値観次第です。

 

HRTにはメリットとともに

いくつかのリスクがあります。

 

メリットとリスクをはかりにかけて、

自分にとって、

どちらの比重が大きいかを

よく考えてみてください。

 

たとえば、

現在つらい症状で苦しんでいる人なら

緊急避難的にHRTを行い、

症状がおさまったところで、

あらためて治療を選択するのもひとつの方法です。

 

また乳がん発生の心配についても

HRTの治療中はがんチェックなどのために、

定期的に検診を受ける必要がありますから、

結果的には、

がんやその他の病気の

早期発見に役立つということで、

むしろそれをメリットと考える人もいます。

 

一方、

更年期は老化にいたる一過程なのだから

できるかぎり人工的な治療を避けて、

からだの変化を自然に受け止めたい

という考え方もあります。

 

また、平均寿命が延びて、

人生85年といわれる時代。

 

将来、

骨粗尉症や動脈硬化による脳障害を起こして

寝たきりになるのを予防するために、

HRTを使い続けたいという考え方もあるでしょう。

 

あるいは、

「HRTを受けていなくても

乳がんになる可能性はある。

そんな心配をするよりも、

若々しさを保って元気に活動したい」

という考え方もあります。

 

どんな治療にもリスクはあります。

 

治療の選択は、

そのリスクを自分でどう受け止めるかに

かかっています。

 

セカンドオピニオン

医師から十分な説明が得られないときは

転院の選択肢も

 

HRTはすぐれた効果のある治療法ですから、

使う目的をはっきりさせることも大切です。

 

まずは、朕師とよく相談してください。

 

そして、HRTを受けるかどうかの

最終的な結論を出すのは、

自分のからだの責任者であるあなたです。

 

いずれにしても、

HRTを受けるかどうかでぐずぐずと悩んで、

不調を抱えたまま何年も過ごしたり、

またHRTの薬を処方してもらったものの、

リスクが気になって

飲まずにおいてあるということだけは

避けたいものです。

 

副作用やリスクのことなど、

不安があれば、遠慮せずに

医師に尋ねてください。

 

患者側がきちんと尋ねているにもかかわらず、

医師からあやふやな返事しか返ってこなかったり、

また医師がめんどうくさそうな態度を示したときには、

今後も十分なインフォームドコンセントは

得られないかもしれません。

 

そのような場合は、

病院を替えるという選択肢も出てくるでしょう。

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